2021/07/03 05:00



「日本はもはや先進国でない」「もはや外国人にとって日本は魅力的な国ではないのでは」という心配の声が上がっている。日本の魅力が薄れれば日本語学習熱も当然下がるだろうというのはたしかに自然な発想だ。本当にそうなってしまったら日本語教師にとって致命的である。


だが、日本語学習への需要についてはそれほど悲観的になる必要はないとわたしは思う。ここでは日本が魅力的な国かどうか考えることはしないが、外国人が働きたい・長く暮らしたい国かということと、外国人の関心を満たすかということは必ずしも同じではないのだ。

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1. 日本は「課題先進国」

まず、これはオリジナルの考えではないが、よく言われるのが日本は「課題先進国」だということだ。日本は問題だらけだが、それがかえってビジネスのきっかけになる。

特に有名なのが高齢社会。日本語学習者の多い国では20代〜30代の層が厚い。産業の発展や政策次第で40〜50年後に高齢社会に突入する。

例えば日本の介護業界で働く外国人には、日本の介護の長所・問題点を生かし、数年後に母国で介護関連の起業をする選択肢がある。
日本には当てはまるが母国には適さず改良した点、逆に国を越えた共通点など、起業した後の知見をまた日本に持ち込んでくれたら、これほど嬉しいことはない。

課題先進国についての説明はこのサイトがわかりやすい。http://drucker-studies.com/words/2141.html


日本語教師が外国人に、「日本の◯◯問題があなたの国で起こったらあなたはどうしますか」と聞いてみると、日本語学習のモチベーションにつながる。


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2. 起業する国として日本を選ぶ外国人

もう一つ、これもオリジナルの考えではないが、起業する国として日本を選ぶ外国人、特に中国の人が増えてきているそうだ。この見立てに賛否両論はあるみたいだが、日本への注目を集める良い切り口だと思う。
この動画が詳しい。


日本語学校で、日本で起業する外国人に、法律家の監修のもと日本の慣習(生活面・ビジネス面両方)、日本語学習から法律まで一貫してサポートする「ビジネスパック」を提供すれば収入源になる。留学生が入国できないときでも多少は保険になる。

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3. 日本株に投資する外国人が日本語を勉強

最後は、東南アジアでネット証券利用拡大した場合の話だ。今以上に経済が発展すれば、東南アジアでも投資がもっとカジュアルになる。

現在は投資といえば米国株という印象が強いが、リスク分散のため他国にも投資したい。そこで日本株は一つの選択肢になる。たしかに日本はデフレだ。デフレのイメージが先行しすぎて、一部の高い技術力を持つ企業の株が割安に放置されている。日本企業で好きなところを応援したい方もいるかもしれない。

日本の経済についての情報収集はたいていは母語でされるだろう。一方、中には日本人目線の情報がほしい、そのためには日本語を勉強しても構わないという人も出てくるはずだ。
日本語教師はそうした人を取り込むことができる。
(日本経済の詳細は多サイトでも確認お願いします)

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そういうわけで、たとえ日本がクールじゃなくても、日本語学習を売り込むチャンスはまだ残されている。

1. 課題だらけなのが逆に売りになる
2. 日本で起業したい外国人の存在
3. 日本株に投資する外国人が日本語を勉強

チャンスを生かしつつ、日本が外国人目線で働きやすい・学問の場にしたい国になるように模索を続けることが大切だ。