2021/06/25 17:29

近い将来、学生さんのレベルに悩む日本語学校が起死回生するかもしれない



(※健全な日本語学校はたくさん存在していることは知っているが、ここでは敢えて、曰く付きの日本語学校について占う)




学級崩壊が多い、N5N4レベルを彷徨っている学生さんばかりの日本語学校が、近い将来、言語学習の実験場になるとわたしは予想している。

「日本語教師はみんな、成すべきことはした。これ以上何をすべきかわからない。でもこのままでは学生さんから高い授業料を取るだけになってしまう」

そんなジレンマから起死回生する方法として、いくつかの日本語学校で起こる。

養成講座とのタイアップではない。論文への掲載を視野に入れた実験の場として、日本語学校が積極的に、カジュアルに選ばれる。


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大学など教育機関との連携のもと、開発中の指導法や教材を試す場として日本語学校が活用されるのだ。

能力開発方法を1つ確立させるには被験者がそれなりの人数必要だ。対照実験もするならなおさらだ。また、長期での経過観察もほしい。

通常の授業では手の施しようがなく、人数ばかりになってしまっている日本語学校は実験の場としてもってこいだ。

日本語学校としても、実験後に教育機関から報酬をもらうことで、新たな、そして「健全な」収入源を確保できる。


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たしかに、仮にも日本語「学校」なのに、学生さんを被験者にする是非は問われるだろう。

しかし、実験で使われる指導法がクリーンヒットして、学生さんのパフォーマンスが改善する可能性もなくはない。

誠心誠意授業をしても状況が変わらないなら、一か八か新たな方法に賭ける価値はある。

学生さんが授業料を取られるだけ取られ、簡単な日本語も身につかず卒業後も搾取され続けるくらいなら、何もしないよりは何かやったほうがいい。


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日本語教師側にもメリットはある。

日本語教育業界ではさまざま教え方が提案されている一方で、どんな学生さんにどんな教え方が効果的だったという、観察に基づいたサンプル数はまだ不足している。

個別に試行錯誤せよと言われればそれまでだが、それにより経験の浅い日本語教師は大変苦労を強いられている。

実際の日本語学校で検証を重ねた教育法が増えることで、経験の浅い日本語教師も仕事を続けやすくなるのだ。


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現在こそ入国条件で苦戦している日本語学校だが、310年後にもなれば一定の入学者はいるだろう。

学級崩壊が多い、N5N4レベルを彷徨っている学生さんばかりの日本語学校もなんだかんだで存在するはずだ。

というより、オンライン授業の普及によって、自学自習する学生さんはオンライン日本語レッスンに流れるか、希望の進学先へ直接入学する可能性が高くなる(もちろんありがたくも、学習意欲または能力が高いたくさんの学生さんが日本語学校を選んでくれているし、これからもそうあってほしい)

そうしたら、誠心誠意授業をしてもうまくいかない、困難な状況下にある日本語学校が再びクローズアップされると予想する。

そしてとある日本語学校が起死回生をかけ、近所の大学にこう打診するだろう。「うちの学校で、新たな指導法の開発に協力できますよ」