2021/05/31 11:34

わたしが日本語教師だった頃、教案作成よりも苦痛だった作業。それは授業記録です。日本語学校では授業が全部終わるとその日の大まかな授業の流れとともに学生さんの様子を見て気づいたことを記録しますね。この授業記録を参考に翌日担当する日本語教師は学生さんにフィードバックをしますから、とても重要です。文型導入時の学生さん個別の反応だけでなく、宿題や練習問題の誤答についてクラス全体でわかりやすい傾向が現れた時も記録します。

ところがわたしは授業記録がとても苦手でした。教案作成は教務主任から良い点もあると励ましてもらえることが多々ありましたが、授業記録に関してはあまりにも少ししか書けなくて「もう少しどうにかならないの?」と毎回言われていました。そして辞めるときまで改善できませんでした。


みっともないですが少し言い訳をさせてください。

まず、授業をトラブルなく教案に沿って進められるかでいっぱいいっぱいで、授業中に授業記録のためのメモをとることができませんでした。

もう一つ、わたしは長期記憶に比べて短期記憶が極端に弱いです。小さい頃からテストでは100点連発でも、授業中に先生が言った内容は5秒も経たないうちに忘れてしまうこともしばしばでした(体育の授業はメモを取れないので地獄でした)。周囲の助けもあり学年が進むにつれて徐々に改善されてきたのですが、今でもたまに困ってしまうことがあります。

なので授業記録に書きたいシーンを目にしても、そのコマが終わるときにもうは思い出せなかったのです。


そうはいっても授業記録の重要性は理解できますし、あの時もう少しなんとかしたかったと思います。そこで、もし今のわたしなら授業記録をきちんとつけるためにどんな工夫をするか考えてみました。それは、

 「文型の導入・練習・会話などの活動・小テストで、学生さんそれぞれの反応を予想してメモしておく」です。

こうすれば当日授業が全部終わった後、予想と違った部分のみ記録できます。もし記録前に忘れてしまいそうなら、授業中にキーワード単位でメモすればいいです。授業中は学生さんがポンポン発言しますので(嬉しいことなのですが)、一からメモするのは大変です。それならあらかじめ何についてメモするか決めて表にしておくと楽だと思います。また、授業中に注目することが決まっていると、あなたの意識が必要な情報を拾ってくれるようになります。

 

ひょっとするとすでにやっている日本語教師の方も多いかと思いますが、もし授業記録を十分に書けなくて悩んでいたらぜひ試してみてください。

 

そして、授業準備の一環として学生さんの反応を予想しメモするにはとても時間がかかります。学生さんが3~5人くらいならまだしも、10人以上のクラスでは大変ですよね。そんな時は、教案・教材作成の方は少し楽してもいいと思います。ぜひ「日本語教師のネコの手」の教案・教材をご活用ください。

 こんな教案・教材があります


 

わたしは教案・教材作成が不要な作業だとはけっして言いません。ただ、教案・教材作成によって学生さん個別の対応を工夫する余裕がなくなってしまうくらいなら、ある程度教案・教材作成で楽するべきだと思うのです。誰かに適切に力を借りて、あなたにしかできない工夫のつまった授業準備をしていただけたらなと思います。「日本語教師のネコの手」も力になれるようがんばります。